お金の基礎知識やお役立ち情報満載。マネーコラム

カードローンを複数申し込むのは避けるべき?注意点や1社に絞るメリットを解説

カードローンを複数申し込むのは避けるべき?注意点や1社に絞るメリットを解説

資金が必要になったとき、複数の貸金業者でカードローンを申し込むことは可能です。ただし、カードローンの契約が複数になると返済スケジュールの管理が複雑になったり、金利の負担が大きくなったりする可能性があるため、あまりおすすめできません。

カードローンによる資金調達を検討している方は、できる限り1社に絞って申し込むようにしましょう。

この記事でわかること
  1. カードローンの複数申し込みをおすすめできない理由
  2. 複数のカードローンで借り入れする3つのデメリット
  3. カードローンの申し込みを1社に絞るメリット

カードローンの複数申し込みに注意

カードローンは複数の貸金業者に申し込むことができますが、あまりおすすめできません。ここでは、複数社への申し込みを避けたほうがいい理由を解説します。

複数の申し込みは審査に影響がある可能性が高い

カードローンを申し込むと、申込履歴が信用情報機関に記録されます。貸金業者は申込者の同意を得ると、信用情報機関に記録された申込者の情報を照会可能となります。借り入れの審査は過去の申込履歴や返済状況などを調査したうえで、返済能力があるか判断する仕組みです。

金融機関の審査で「短期間に複数のカードローンに申し込んでいる」と判明した場合、お金に困っている印象を与える可能性があります。その結果、審査に影響があるかもしれません。

複数のカードローンに申し込んでいる状態で審査に通過したとしても、今後新たな借り入れをするときに影響する場合もあります。複数のカードローンの申し込みは慎重に検討したほうがよいでしょう。

総量規制を考慮した審査が行われる

貸金業者でカードローンを申し込む場合、総量規制を考慮した審査が行われます。総量規制とは、貸金業者に対して契約者の年収の3分の1を超える貸し付けを原則禁止する規制のことです。

総量規制は1社の借入額ではなく、すべての貸金業者の合計借入額(※1)に適用されます。そのため、どの貸金業者に申し込んでも、借り入れできる可能性がある最高金額は変わりません(※2)。借入希望額が総量規制を超える場合は、その金額を借り入れできないだけでなく、複数社申し込んだ履歴が信用情報に記録されることになるため、注意しましょう。

貸金業者が複数のカードローンに申し込みをしている方を審査に通過させた場合、総量規制を超えた貸し付けを行うリスクが高くなります。そのため、複数同時にカードローンを申し込んでいる方の審査は、特に慎重に行われるでしょう。

銀行系カードローンは貸金業法が適用されないため、年収の3分の1を超えた金額でも借り入れできることがあります。ただし、申込者の保護や貸し倒れリスクの観点から、総量規制と同様の制限を独自に設けているケースがあります。銀行系カードローンであっても年収の3分の1を超えた借り入れができない可能性があると想定しておきましょう。

※1 貸金業者各社において合計借入総額を計算する場合、自社分は「借入可能額」、他社分は「貸付残高」として算出します。
※2 信用情報や本人の属性などによっては、借入可能額が総量規制未満になることもあります。

複数のカードローンで借り入れする3つのデメリット

複数のカードローンで借り入れをした場合、以下のようなデメリットがあります。

1.返済管理が難しい

複数の金融機関から借り入れて返済する場合、複数の返済日や借入残高を管理しなければなりません。引き落とし前の入金や振り込みを月に何度も行うことになり、返済を忘れやすくなることもあるでしょう。

故意ではなくうっかり返済を忘れてしまった場合でも、返済が遅れたことに対するペナルティである「遅延損害金」が加算されて支払総額が増えます。複数の借り入れをしていれば、それだけ延滞するリスクが高まるため注意しましょう。

2.金利の負担が増える

カードローンの金利には、金融機関からの借入金額が大きいほど金利が下がる特徴があります。同じ金額を借り入れるなら、複数社から少しずつ借り入れるよりも、1社で借り入れをしたほうが低金利で借りられる可能性が高いでしょう。

例として、100万円を3社と1社で借り入れ、1年後に一括返済した場合を比較してみましょう。

<複数社から借り入れる場合>
借入総額 金利(年利) 利息総額 支払総額
A社 300,000円 17.8% 53,400円 353,4000円
B社 300,000円 17.8% 53,400円 353,4000円
C社 400,000円 17.8% 71,200円 471,200円
合計 1,000,000円 - 178,000円 1,178,000円
<1社から借り入れる場合>
借入総額 金利(年利) 利息総額 支払総額
D社 1,000,000円 14.5% 145,000円 1,145,000円

※「利息=元金×金利÷365日×借入日数」の計算式に当てはめた場合のシミュレーションです。返済方式によって数値が異なる場合があります

3社の借入先からそれぞれ30万円、40万円、40万円ずつ借り入れ、金利が17.8%であった場合、利息総額は178,000円、支払総額は1,178,000円です。一方、1社から100万円を借り入れて金利が14.5%であった場合、支払総額は1,145,000円です。借入先を1社にすると、3社から借り入れたときより支払総額を約3万円抑えられています

3.信用情報に履歴が残る

金融機関で借り入れを行うと、信用情報に履歴が残ります。信用情報に残る利用履歴が多すぎる場合、新たにローンを借りる際の審査が通りにくくなってしまう可能性があります。

複数のカードローンを契約できたとしても、今後新たに借り入れを申し込んだ際の審査に影響を与えるかもしれません。複数のカードローンで延滞を繰り返すなど利用状況がよくなかった場合、審査に通らない可能性がさらに高くなります。

カードローンはなるべく1社で契約

カードローンの契約は、できる限り1社に絞るようにしましょう。カードローンの契約を1社に絞ると、以下のようなメリットがあります。

  • 金利が低くなる可能性がある
  • 返済の管理がしやすい

複数社に同時に申し込みを行うと、審査に影響がある可能性が高くなります。審査基準は金融機関によって異なるので、まずは1社に申し込み、その審査に通過しなければ次の申し込みを検討するのがおすすめです。カードローンの審査について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

契約中のカードローンで増額を検討する

すでにカードローンを契約中で、「借入可能額を超えるお金を借りたい」と別のカードローンの申し込みを考えている方は、まず現在契約しているカードローンの増額を検討しましょう。これまでに延滞などがなく、年収の3分の1に満たない金額が設定されている場合は、借入可能額を増やせる可能性があります。

借入可能額の増額は、契約中の金融機関の公式サイトや電話から申し込みが可能です。ただし、増額の申請でも審査が行われ、結果によっては借入可能額が減る場合もあります。前回の審査から年収が下がった方や、信用情報に不安がある方は注意しましょう。

よくある質問

なぜ複数社のカードローンに同時に申し込むことがよくないのですか?

お金に困っている印象を与えて、審査に通りにくくなる可能性があるためです。もし借り入れできたとしても、「返済管理が難しい」「金利の負担が増える」などのデメリットがあります。

複数社で借り入れしないほうがよいなら、どのようにしてお金を借りればいいですか?

1社に絞って希望額を申し込む、もしくは現在借り入れしている金融機関での増額を検討しましょう。

カードローンの返済に遅れてしまうとどうなりますか?

遅延損害金が発生し、延滞した情報が信用情報機関に登録されます。今後新たにカードローンを利用するときの審査にも悪影響を及ぼす可能性があります。

異なる保証会社のカードローンであれば、審査に通りやすいですか?

保証会社が異なるカードローンであれば、審査に通りやすいと耳にすることがあるかもしれませんが、金融機関の審査基準は公開されていないため、有効な手段とは断言できません。

簡易審査に通れば、本審査も通りますか?

簡易診断ツールで「複数のカードローンを借りられる」という結果になっても、本審査に通るとは限りません。簡易審査はあくまで目安としてとらえましょう。

小宮 崇之
CFP®(公認ファイナンシャルプランナー) / TLC(生命保険協会認定FP) / 損害保険プランナー / 証券外務員一種 / 日商簿記検定2級
小宮 崇之(こみや たかし)
大学卒業後、信用金庫に入社。中立的な立場でお客様目線の営業をしたいという思いから、保険代理店として独立を決意。保険会社の代理店営業職、保険会社の研修生を経て2020年9月に保険代理店を設立。
保険代理店の実務経験を生かして、執筆業や講師業も行う。
スマホで借りて、スマホで返す ORIX MONEY